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JOURNAL / 世代別

20代のお金——貯める習慣と自己投資、どちらを優先する?

貯金と自己投資、どちらを優先すべきか迷う20代へ。少額でも先取りする習慣の価値、自己投資と浪費の線引き、そして20代最大の資産「時間」の活かし方まで、独立系FPが判断軸をお渡しします。

小さな住まいで学びの時間を持つ20代の女性と家計整理の道具(イメージ)
世代別
原稿時点とご利用にあたって

この記事は2026年7月原稿の移行版です。制度・税制・統計は当時の説明であり、現在の適用条件とは異なる場合があります。個別の判断前に、公式情報や専門家にご確認ください。

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この記事で考えること

「投資を始めた」という同期の話。なかなか増えない貯金残高。気になっている資格の勉強代。20代のお金の話題は、いつも「貯めるべきか、自分に使うべきか」の間で揺れます。SNSを開けば「若いうちは自己投資」と「若いうちから資産形成」が同時に流れてきて、どちらももっともらしく見える。

私は独立系のFP事務所を営んでいますが、20代の方からのご相談で最も多いのが、まさにこの二択です。そして私の答えはいつも同じです。これは「どちらかを選ぶ」問題ではなく、「順番と型を決める」問題です。

この記事では、少額でも先取りの習慣を作る価値、自己投資と浪費の線引き、そして20代最大の資産である「時間」の活かし方を、順番にお渡しします。

まず結論——「どちらか」ではなく「順番」の問題です

貯める習慣と自己投資は、対立するものではありません。貯める習慣は「金額」ではなく「型」の問題なので、少額で成立します。一方の自己投資は、上限さえ決めれば思い切って使ってよいお金です。つまり、小さな先取りで型を作り、残りの中から上限を決めて自分に投資する。この順番にすれば、両方が同時に成り立ちます。

POINT

20代のお金の設計は「先取りで型を作る→上限の中で自己投資する」の順番。金額の大小より、この順番を先に決めることが重要です。

では、それぞれを具体的に見ていきましょう。

少額でも「先取りの習慣」を作る価値

「手取りが少ないうちは、貯金なんて無理」という声をよく聞きます。気持ちはよく分かりますが、先取り貯蓄は金額の問題ではなく、順番の問題です。月5,000円でも構いません。やることは3つだけです。

  1. 金額を決める手取りの1割を目安に。厳しければ月5,000円からで構いません
  2. 給料日に自動で移す自動振替や社内の天引き制度を使い、意思の力に頼らない仕組みにします
  3. 残ったお金で暮らす「余ったら貯める」を「先に貯めて残りで暮らす」に逆転させます

この型の価値は、貯まる金額そのものではありません。収入が増えたとき、増えた分の一部が自動的に貯蓄へ流れる「器」が先にできていることです。20代で月5,000円の型を持っている人は、30代で収入が増えたとき、同じ型のまま金額だけを増やせます。型がない人は、収入が増えた分だけ生活水準が上がり、貯蓄は後回しになりがちです。

自己投資と浪費の線引き

「自己投資」は便利な言葉です。便利すぎて、あらゆる出費の言い訳にもなります。私がご相談の場でお伝えしている線引きは、次の3つの問いです。回収の道筋を自分の言葉で説明できるか。終わったあとに何かが残るか。そして、目的が「不安の解消」になっていないか。

自己投資になりやすい使い方

  • 仕事や転職に直結するスキル・経験
  • 回収の道筋を自分の言葉で説明できる
  • 終えたあとに残るものがある

浪費に変わりやすい使い方

  • 「何かしなきゃ」という不安の解消が目的
  • 買った時点で満足してしまう教材や道具
  • 「周りがやっているから」が主な理由

とはいえ、線引きに迷う出費は必ず出てきます。そのときのために「自己投資の月の上限額」を先に決めておいてください。上限の中であれば、多少の空振りは授業料です。浪費をゼロにする必要はありませんし、ゼロを目指すと続きません。

時間は、20代だけが持っている資産です

複利は、収益を再投資することで次の収益にも影響する仕組みです。一定の利回りを置いた計算例と、実際には値動きがある運用とを分けて理解することが大切です。

知らなかったとしても、それはあなたのせいではありません。学校でも職場でも、体系立てて教わる機会がなかっただけです。

複利の力を簡単な算数で見てみます。仮に年3%で運用できたとして、毎月1万円を積み立てると、20年では元本240万円が約330万円に、40年では元本480万円が約930万円になる計算です。期間が2倍になると、増え方は2倍をはるかに超えます。もちろんこれは仮定の計算で、実際の運用は上下しますが、「複利は後半に効く」という構造は変わりません。20代で始める意味は、金額を積むことではなく、この期間を最大化できることにあります。

20代の武器は、収入の多さではなく、残り時間の長さです。

この10年で決まること、やらなくていいこと

世代別の整理として、20代の10年で決まることと、やらなくていいことを対で挙げておきます。

この10年で決まること

  • お金が貯まる体質かどうか——先取りの「型」を持てるか
  • 収入を伸ばす土台——自己投資の質と量
  • 時間を味方にできる期間——始めた年齢がそのまま複利の期間になります

やらなくていいこと

  • 焦った投資。SNS型投資詐欺の被害額は2024年に約1,272億円、前年比で約2.8倍に膨らみました。「早く増やさなきゃ」という焦りこそが狙われます。うまい話が向こうから来ることはありません
  • 付き合いで入る保険。私は信用金庫で5年、売る側にいました。断り方を知らない若い世代は、営業の最初の訪問先になりやすいことを内側から見てきました。20代は一般に、大きな保障を必要とする場面が限られます。誰かのために入るのではなく、必要になったときに自分で選んでください

まとめ——順番を決めれば、両方できます

先取りは金額ではなく型の問題。月5,000円でも、器を先に作ることに価値があります。自己投資は、回収の道筋と上限額を決めたうえで思い切って。そして、焦った投資と付き合いの保険はやらなくていい。

20代の最大の資産は時間です。急ぐ必要はありませんが、型を作るのは早いほど楽です。今月の給料日から、小さく始めてみてください。

原稿に記載された出典・参考資料

  • 複利の理解度に関する国際比較調査(2022年)
  • 警察庁「令和6年におけるSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」(2024年)

一般的な情報提供を目的とするもので、個別商品の勧誘、税務・法務等の個別助言を行うものではありません。運用成果を保証するものではなく、ご自身の状況に応じた確認が必要です。

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