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JOURNAL / ケーススタディ

育休復帰・時短勤務——収入が減った家計の組み直し方

時短勤務で収入は減り、保育料で支出は増える。育休復帰後の家計が産前より苦しい——そんな30代のご相談事例です。「元の家計に戻す」のではなく「今のフェーズの家計を作る」という発想転換と夫婦分担の判断軸をお渡しします。

仕事復帰後の朝、保育園への準備を分担する夫婦(イメージ)
ケーススタディ
原稿時点とご利用にあたって

この記事は2026年7月原稿の移行版です。制度・税制・統計は当時の説明であり、現在の適用条件とは異なる場合があります。個別の判断前に、公式情報や専門家にご確認ください。

本記事は判断の考え方を伝えるための架空の事例です。実在のお客さまの実績・体験談ではありません。

BEFORE YOU READ

この記事で考えること

育休が明けて仕事に復帰したのに、家計はむしろ苦しくなった気がする——。時短勤務で収入は以前より減り、そこに保育料という新しい支出が加わる。頑張って働いているのに通帳の数字は産前より心細い。「こんなはずでは」と感じている方は、実はとても多いのです。

今回は、育休から時短勤務で復帰して数か月というタイミングでご相談に来られた30代の方の事例をご紹介します。鍵になったのは、節約の工夫ではなく、「元の家計に戻す」のをやめるという発想の転換でした。

本記事の事例は、よくあるご相談をもとに再構成した架空のケースです。実在の個人・世帯とは関係ありません。

相談者プロフィール——時短で復帰して数か月の30代

ご相談に来られたのは、30代の共働きのご夫婦。お子さんが保育園に通い始め、時短勤務での復帰から数か月が経った頃でした。

  • 30代・共働き・子どもは保育園に通い始めたばかり
  • 一方が時短勤務で復帰し、世帯収入は産前より減少
  • 保育料が加わり、毎月の収支はぎりぎりか、月によっては赤字

相談前の悩み——「元の家計に戻さなきゃ」という焦り

ご本人を追い詰めていたのは、収支の数字そのものよりも、産前との比較でした。「前はもっと貯金できていたのに」「復帰したのにペースが戻らない」。節約を頑張っても、収入減と保育料という二重の変化の前では焼け石に水で、できない自分を責めてしまう。お金の話になると夫婦の会話もぎくしゃくする、という状態でした。

最初にお伝えしたのは、「その比較は、そもそも土俵が違います」ということです。産前の家計は「大人2人がフルタイムで働き、子どもがいない家計」。いまは働き方も、家族の人数も、時間の使い方も違います。別の条件の家計を同じものさしで測れば、苦しく見えるのは当たり前なのです。

相談で整理したこと——「戻す」のではなく「今のフェーズの家計を作る」

そこで判断軸を、「元に戻す」から「今のフェーズの家計を新しく作る」に切り替えました。復帰後の家計は、産前の家計の劣化版ではありません。条件がまるごと変わった、別のフェーズの家計です。

「元に戻す」発想

  • 産前の貯蓄ペースが基準になる
  • 届かない分だけ自分を責める
  • 不足を節約の我慢で埋めようとする

「今のフェーズを作る」発想

  • 現在の収入と支出でゼロから設計する
  • 貯蓄目標もフェーズに合わせて調整する
  • お金と時間の両方を資源として考える

設計の手順は、次の4つです。

  1. 今のフェーズの収支表を新しく作る産前との比較をいったんやめ、現在の収入と支出だけでゼロから眺める
  2. 支出を「時限的」と「恒常的」に分ける保育料のように、数年で段階的に変わっていく期限つきの支出を区別する
  3. 貯蓄目標をフェーズに合わせるいまは積み増す時期ではなく「止めない・崩さない」時期と割り切る
  4. 夫婦の分担を再設計するお金の分担だけでなく、家事育児の時間も含めて配分を話し合う

特に効いたのは2つ目でした。保育料は重い支出ですが、子どもの成長とともに段階的に変わっていく、期限のある負荷です。これを恒常的な赤字体質と混同すると、必要以上に悲観して家計設計を誤ります。「いつまで続く支出か」を書き込むだけで、家計の見え方は大きく変わりました。

夫婦の分担については、収入の比率だけで決めると、時短側に家事育児の負荷が偏りがちです。このご夫婦とは、お金と時間の両方をテーブルに載せて配分を見直しました。もう一つ、売る側にいた経験からの注意点も添えました。復帰のタイミングは教育費への不安が高まる時期で、貯蓄型の保険など毎月の固定費が増える商品を提案されやすい局面です。固定費を増やす判断は、新しいフェーズの家計が安定してからでも遅くありません。

その後の変化——赤字への罪悪感が消え、会話が変わった

収支表を作り直してみると、この家計は「恒常的な赤字体質」ではなく、「保育料という時限的な負荷を、いまだけ背負っているフェーズ」だと分かりました。貯蓄は金額を一時的に引き下げつつ、自動積立そのものは止めない形に調整。家事育児の分担も再配分し、時短側の負担感が話し合いのテーブルに載るようになりました。

数か月後に伺った変化で印象的だったのは、「赤字の月があっても、想定内だと思えるようになった」という言葉です。設計図があれば、同じ数字でも意味が変わります。夫婦のお金の会話が「責める・守る」から「確認する」に変わったことが、いちばんの成果かもしれません。

POINT

復帰後の家計を産前と比べない。「今のフェーズの設計図」を作り、支出には「いつまで続くか」の期限を書き込む。それだけで、同じ収支でも不安の量は大きく変わります。

まとめ——家計は「フェーズごとに作り直す」ものです

同じ状況の方への判断軸は、次の3つです。

  • 「元の家計に戻す」ではなく「今のフェーズの家計を新しく作る」と考える
  • 保育料のような時限的な支出と、恒常的な支出を分けて眺める
  • 分担の見直しは、お金だけでなく時間も資源として夫婦で話し合う

収入が減った時期の家計が苦しいのは、あなたの頑張りが足りないからではありません。フェーズが変わったのに設計図が古いままだった、それだけのことです。

一般的な情報提供を目的とするもので、個別商品の勧誘、税務・法務等の個別助言を行うものではありません。運用成果を保証するものではなく、ご自身の状況に応じた確認が必要です。

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